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研究グループ紹介

天野研究室インタビュー

‟将来世代にわたる豊かな暮らし”を願い
GaNの研究に日夜励む

天野研究室のみなさん

天野 浩 教授 談

青色LEDで一躍脚光を浴びたGaNですが、その応用の可能性は発光素子に留まりません。パワーデバイスに使うことができれば、LED電球による7%の省電力に加えて、さらに10%近い省電力化が期待できます。日本に原子力発電所は現在48基ありますが、LEDとパワーデバイスの省電力効果は全発電能力の約半分にあたります。
本田先生、新田先生、出来先生の3人の新進気鋭の若手研究者は、いち早い社会実装に向けて、研究室のポスドクや学生とともに、日夜研究に取り組んでおります。情熱があって、とても楽しい人たちですので、是非3人の話を聞きに研究室においでください。

未来エレクトロニクス集積研究センター(CIRFE) センター長
教授 天野 浩(写真右上 前列左から3番目)

“柔軟な発想・のびやかな視点”で
課題に切り込む

准教授本田 善央

HONDA Yoshio

・専門分野 / 電子・電気材料工学
・趣味 / 家庭団らん、酒、スキー

天野研究室って、どんな研究をしているんですか?

本田:窒化ガリウム (GaN) を基盤とした、材料からデバイスまで幅広く研究をしています。中でも、天野研のメインはパワーデバイスです。パワーデバイスって言うのは、電力の変換や制御をするための装置のことです。変換や制御の際に生じる電力のロスが、現在のシリコン (Si) のデバイスに比べると大変少ないので、高効率、高性能が狙えるんです。

幅広く研究されているということですが、研究室の体制を教えてください。

新田:研究室には、天野先生や本田先生のように、大学一筋で研究しておられる教員が中心にいて、私のように企業経験のある教員も複数います。科学的な視点とものづくりの両視点で研究を進めることにより、学術的な価値を持ちながら、よりタイムリーで世の役に立つ研究ができる体制だと思います。

“窒化物半導体の可能性”を
さらに広げる研究に挑む

特任准教授新田 州吾

NITTA Shugo

・専門分野 / 結晶成長、デバイス工学
・趣味 / 子育て、フットサル

では、研究室の雰囲気はどうですか?

出来:研究分野の観点から言いますと、これまでのGaN 専門の先生方に、シリコンカーバイド(SiC) パワーデバイスの専門家といった別の分野の研究者も加わり、研究室に新しい風が吹いています。学生もGaN の結晶成長からパワーデバイス作製まで様々な分野を経験できることが楽しいみたいで、非常に活発な雰囲気です。

学生時代から名古屋大学に通い続けて22 年という本田先生。学生の頃は何の研究をされてたんですか?

本田:シリコン上に窒化ガリウムを成長させていました。元々半導体に興味があったのでそういう教室を選んだら、窒化ガリウムという訳のわからない材料をやっていて、青く光るのは面白そうだなと。その頃は、サファイア結晶の基板上にしかGaN を積んでいる人がおらず、より挑戦的な基板をと思い、シリコンを選びました。それからずっと、ドクター出るまではシリコン上での成長で。誰もやっていないからやるという、真理を追求するという考えですね。

製品化に不可欠な
“「信頼性」を高める評価”に取り組む

助教出来 真斗

DEKI Manato

・専門分野 / 電子デバイス、電子材料工学
・趣味 / 将棋、グラ潰し

新田先生は、企業で経験をつまれたそうですが、これまでのご苦労や研究室での役割りを教えてください。

新田:企業での研究開発では、まずは性能を実現することが第一ですが、製品化するためには設計図面に落とし込む必要があり、このプロセスになじむのは苦労しました。トップデータではなく量産としての性能保証等の目線が必要となり、研究とものづくりでは、異なる感覚が必要だと実感しました。研究室では、そんな企業経験を活かして先生方と学生さん、研究室と外部、大学と企業といった立場や経験のギャップをつないでいくのが自分の役割の一つかなと思っています。

「信頼性」を高める評価に取り組まれている出来先生。素子の材料の違いで効率が変わるんですね。

出来:例えば新幹線や電気自動車の中で行われる電力変換の際、パワーデバイスの材料を変えるだけでスイッチング時に発生する電力損失を減らすことができるので、燃費が10%程向上します。また、自動車エンジンを例にとりますと、材料の熱伝導率が悪ければ冷却水を流すシステムが必要になり、車体が重くなって効率が下がります。GaNやSiCはSiと比べて熱伝導率も高いので、水冷を空冷に変更することもできますので、システムの小型化が期待でき、燃費の向上に繋がります。

エミッション顕微鏡像。エミッション顕微鏡は、パワーデバイスの絶縁破壊メカニズム解明のキーとなる評価手法で、写真はGaNを用いた縦型PINダイオードの順方向バイアス印加時のエミッション像。発光している点は電流が集中していて、故障の要因となる欠陥の存在を示している。天野研では、これらの要因を解析し、材料とプロセスの両面から課題解決に挑んでいる。
サファイア基板上にGaNの結晶を成膜したウエハ。焼き物師のごとく、出来映えを観察する。
パワーデバイスの耐圧を測定する装置。電圧は1万ボルト、電流は500アンペアまで印加可能。

窒化ガリウム(GaN)

GaN はGa(ガリウム)とN(窒素)の化合物で、ガリウムナイトライドとも呼ばれる。
青色LED の材料として開発された。
高い絶縁破壊電界強度や電子飽和速度を有することから、近年では電力変換をする際の低損失、高効率を実現できる、次世代省エネルギー化の救世主となるパワーデバイス材料として、研究が進められている。

パワーデバイス

電気エネルギー=電力を発電、送電、消費する際の電圧・周波数変換やモーター制御などに用いられる半導体素子。
用途は、発送電、変電所、ハイブリッド/ 電気自動車、電車、家電製品など多岐にわたる。

シリコン

ケイ素(Si)単結晶材料のこと。
パソコンやテレビ、スマートフォンなど、現在の生活を支えている多くの電化製品、あるいは交通や通信などの社会インフラに欠かせない存在であり、いわゆる「半導体」として広く知られる。

SiC(シリコンカーバイド)

GaN と並んで、次世代パワー半導体として、この材料を活かす周辺技術開発が進められている。
従来のSi デバイスと比較し、高耐圧で低損失な素子作製が可能となるため、SiC デバイスはモーター駆動などの高耐圧・大電流用途で有利。

文:IMaSS 広報委員会(松田、小西)『IMaSS NEWS Vol.01』特集より抜粋