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桑原 真人 准教授が第十五回(令和3年度)風戸賞を受賞しました。

 電子顕微鏡に関する研究を奨励し学術の振興に寄与することを目的に研究推進の事業を行っている公益財団法人 風戸研究奨励会から、未来材料・システム研究所の桑原真人准教授が、電子顕微鏡や関連装置を用いた研究成果を褒賞する〈風戸賞〉を授賞しました。

受賞日 2022/03/05
賞名 第十五回(令和3年度)風戸賞
受賞者 桑原 真人(准教授)
研究課題 高スピン偏極パルス電子源を有する時間分解透過電子顕微鏡の開発
関連HP

https://www.kazato.org/
https://www.kazato.org/pdf/2022/20220305.pdf

■ 第十五回(令和3年度) <風戸賞>選考理由書(転載)


名古屋大学未来材料・システム研究所

准教授
桑原真人( クワハラマコト) 殿
授賞課題:高スピン偏極パルス電子源を有する時間分解透過電子顕微鏡の開発

 桑原真人氏は、パルス性を有するスピン偏極電子源の開発に学生時代より関わり、その後、スピン偏極性、パルス性を有する電子顕微鏡用新電子源の開発に従事して来ました。同氏が開発した新電子源の透過型電子顕微鏡(TEM)への搭載とその応用研究は、TEMの新たな可能性の開拓という観点から高く評価できます。
 TEMの電子源は、主にその輝度、干渉性の向上を目的として開発されてきました。これに対し、桑原氏は、名大中西グループにおいて、NegativeElectron Affinity表面を有する半導体フォトカソードを用いた偏極電子源装置の製作と性能評価に携わった経験を活かし、スピン偏極性、パルス性を有するTEM用新電子源の開発とその性能向上、応用探索を行ってきました。2012年には、この電子源をTEMに搭載し、TEMとして機能することを報告しました。2014年には、偏極度82%において輝度が3.8x107A/cm2・sr@30kVに達することを報告しました。2021年には、このパルス電子源の干渉性が、スピン依存することを示しました。このように、新たなTEM用電子源の基礎的特性の向上とその可能性を示すと共に、パルス性を利用した時間分解電子回折による物質研究への応用展開も行いました。
 以上、桑原氏の独創的な研究は国内外でも高く評価され、多くの研究プロジェクトを遂行しています。同氏の、スピン偏極性、パルス性、干渉性を備えたTEM用電子源の開発は、TEMの新たな可能性の開拓という点で高く評価できます。
 よって、これらの成果に対して、ここに風戸賞を贈呈します。