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研究グループ紹介

宇治原研究室インタビュー

研究室はダイバーシティ!
~世界のエネルギー事情に新たな変革を起こせるか!?~

結晶成長中の装置内の様子は高温のため見られないが、AIを使って装置内の様子を予測し、さらに瞬時に映像として映し出すという「見える化」に成功した装置の前で。
左から、田川准教授、宇治原教授、原田講師。
左の装置の要の部分である「るつぼ」を高温にさせるためのコイル

自ら「ダイバーシティ」と表現するほど、多彩で多才な宇治原研究室は、結晶成長、つまり、きれいな結晶を作ることをキーワードとして、世界のエネルギー事情に変革をもたらす、様々な材料の研究を進めています。
今回のインタビューでは、なぜきれいな結晶づくりが必要なのかといったことも含め、3人の先生にそれぞれの研究についてのお話などを伺いました。

キーワードは「結晶成長」

宇治原研究室では、主にSiC(炭化ケイ素)という化合物の研究をされていますね。

SiCだけじゃないですけれど、SiCが第一です。SiCって、エネルギー問題を解決する半導体として、めちゃくちゃ大切なんですよ。今、世界の3大課題は、水、食料、エネルギーですよね。僕の研究室では、ほとんどがエネルギーに関する結晶成長、要するにきれいな結晶を作る研究をしています。

性能が良いきれいなSiCの半導体ができたら、どれくらいの省エネになりますか?

半導体は、電車やエレベーター、電気自動車、大きな工場のモーターなどあらゆるところにあるので、国の試算によると、日本だけで、原発10機分くらいの省エネになるといわれています。今はまだ価格が高いことが難点です。価格を下げるためには、結晶の品質を良くすることが必須なんです。

シミュレーションにAI利用で大躍進

言うは易しですけれど、それが大変なんですよね。

僕たちが作っているSiCの結晶は、間違いなく世界一きれい。でも、大きな問題は、まだ10mm角か15mm角位の小さなものしか作れないということ。でも、製造のシミュレーションにAIを使い、従来のものに比べたら圧倒的なスピードアップになりました。20年かかりそうだった開発が、2~3年でできそう。しかも、1000℃を超える高温の内部をアニメーション投影して「見える化」。「その場測定」までで可能になったんです。

結晶成長に「自己組織化」を利用

DNA分子の結晶化とは?

私たちの中にもあるDNA分子をナノ粒子に結合させて、DNAで思い通りに結晶化させることです。DNAって、塩基配列を持っているので、相手とくっつけるかくっつけないかみたいな並び方を、人間が設計してコントロールすることができるんです。結晶化の際、保温する必要があるんですが、カレーがおいしくできますみたいな真空保温鍋を使ったりして、チャカチャカって混ぜるだけ。すごく安くできるし、環境に優しいです。

ちなみに、どういったことができるんですか?

例えば、光って波長の長さが決まっていて、扱える限界ってあるんですが、私たちが作っているナノ粒子の集合体の、ナノの領域に閉じ込められた光っていうのは、普通の光には考えられないような性質があるんです。そういうことを使うと、この光学顕微鏡では見えないはずの原子や分子が見えるとか、原理的には可能になるんです。

研究室はダイバーシティ

ところで、宇治原研究室は女性研究者を含め、層が厚いですね。

ダイバーシティですから! 今、うちの研究室でいないのは、10代と60代だけじゃない? ひとケタもいるし(笑)、70代もいるし、外国人も。今は、中国、台湾、韓国、一時期インドもいたね。本当はもっと世界中に広げたい。若い人は多分、研究室内で田川先生の子供が遊んでたら、そっちの方が普通だと思って社会に出ることになるよね。もしもそこではそういう環境が整っていなかったとしても、その子たちが変えてくれるかもしれない。「何でダメなんですか?」って。

半導体について

物質の電気伝導性を示す性質のことで、より小型、軽量、高性能が求められている。一般的には「半導体」といえば「半導体集積回路」を差す。半導体は、PC、スマートフォン、液晶テレビなどのデジタル家電のみならず、冷蔵庫や洗濯機などの家電、自動車など、ありとあらゆる製品に搭載されている。
また、電車の運行システム、銀行や証券会社の業務、電気、ガス、水道など社会インフラの制御に至るまで、広範囲に半導体が使われており、もはや「半導体」なしには暮らし得ない。
加えて、近年、IoTが本格的に普及し、デジタルデータ量が飛躍的に増大した結果、そのビッグデータを記憶するためにとてつもない台数のサーバーが必要、すなわち大量の半導体が必要となっており、世界の半導体市場はいっそう急拡大している。

*半導体の性能=より小さく、効率よく、たくさんの電力を直流⇔交流の変換を早いスピードでできるか。耐久性、寿命、信頼性はあって当前の性能とされます。

文:IMaSS 広報委員会(松田、小西)『IMaSS NEWS Vol.05』特集より抜粋