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研究グループ紹介

片山新太研究室インタビュー

微生物はきれいの味方!?
~微生物が有害物質を分解する仕組みを発見~

片山新太研究室のみなさん

近ごろ、美と健康に欠かせないと話題の微生物のこと、どれくらい知っていますか?
「微生物」とは、細菌やウイルス、酵母など、人間の肉眼では見ることができない微小な生物全般を指します。その数は天文学的で、種類も未だ計り知れないほど多くあり、空気中はもとより水の中、土の中、私たちの皮膚の表面や体の中にまで存在するため、私たちは普段、たくさんの微生物に囲まれて生活しているのです。
片山新太研究室では、そんな数ある微生物の中から特定の種類を選び、化学反応を利用して、汚水の浄化や有害物質を分解するしくみについて研究を行っています。

水をきれいにする微生物

人間の体の中に消化を助ける菌がいるように、汚水をきれいにする微生物がいるんですか?

片山:微生物って、いいヤツから悪いヤツまで、また、酸素を取り込んでエネルギーを得る好気性微生物もあれば酸素を必要としない嫌気性微生物(多くは細菌)もあり、本当に多種多様なんです。
そんな中で、汚水の浄化につながる化学反応を起こしてくれる微生物を特定し、さらにそれを増やす方法を研究しています。同時に、その化学反応で発生するわずかな電子を拾って発電できないかという研究もしています。

電気を与えて有害物質を分解し、また電気を回収する節電型もあるんですよね?

片山:はい。微生物に与える栄養として、泥自体に酸化還元を行う電極を付けて、放置しても勝手に有害物質を分解して浄化できるようにならないかと考えています。例えば、環境汚染が懸念されている有機塩素化合物の場合は、微生物の活性化のためにエネルギー源として土に電極を挿して(太陽光発電で)電気を流し、塩素を除去してさらにCO2まで分解して、そこから発生するエネルギーを回収するんです。回収できるのは、ほんのわずかですが、これは節電型技術です。

微生物の細胞外電子システムを用いた省エネ型環境修復・資源化技術
微生物による下水の処理(分解)を、電気で促進する実験。電気などの条件をどういう風に変えると汚染物質がどういう風に変わっていくかを見ている。

微生物と電気化学作用

電気が微生物のエネルギー源になるんですか?

片山:そうなんです。例えば、微生物の中でも劇物に指定されているペンタクロロフェノールを、脱塩素(安全に)する働きを持つ嫌気性の細菌(デハロバクター等)の栄養素は電子であり、その細菌に電子を渡すのは、土や底質の中の固体腐植ヒューミンであることを、世界に先駆けて見出すことに成功しました。要するに、有害物質を分解する微生物は、泥からエネルギー源の電子をもらって生きているということです。このような現象は、他のいくつかの有害物質の反応にも言えることなんです。

微生物による嫌気的脱塩素反応を促進する生物電気化学システム
嫌気条件(酸素のないところ)での処理を行って、物質そのものの研究をしている。
片山新太教授

それはすごいですね!きっと努力の積み重ねなのでしょうね。

片山:研究の大半の時間は、抽出作業に費やしています。浄化をするということは、浄化できたかっていう評価をしなくてはいけないんですよ。化学物質がなくなったかとか、何に変わったのかを調べる必要があるんです。泥とか水の中に残っている成分を分析することが、普段のほとんどの作業になります。
一方で、どんな微生物が影響したのかを調べるのには、それまでいた状況と同じ、例えば酸素がない環境で活動している微生物は酸素がない環境でしか取り扱えません。上手に嫌気性微生物を飼うことは、研究にはすごく重要なんです。上手に飼える人のことをゴッドハンドと呼ぶくらいにね。

若い人たちへメッセージを。

片山:背中を見てついて来てくれというよりは、根性を持って逆らってくれという方が大きいかな。それまで常識のように信じられてきたことが覆されることもあるので、自分を信じて、切り開いて欲しいです。それから「研究者は3重人格(1.アイディアマン 2.証明する技術者 3.評論家)になれ」とも言っています。また、環境問題をやる人は専門書も読まないといけないけれど、一般的な新聞やテレビも見て欲しいですね。

微生物

例えば、わずか1gの土の中に、細菌が数億、酵母が数千万、カビは数万生息するともいわれています。

底質(ていしつ)

河川、湖沼、海域などの水底を構成する粘土、シルト、砂、礫などの堆積物や岩のこと。

固体腐植ヒューミン

化学構造が特定できない有機物質(あらゆるphで水に不溶)

他のいくつかの有害物質の反応

難燃剤の四臭化ビスフェノールAの脱臭素反応、コロイド状鉄酸化物の還元反応、硝酸イオンの還元反応等を担う、さまざまな微生物に見られる現象であることがわかってきました。

文:IMaSS 広報委員会(松田、小西)『IMaSS NEWS Vol.04』特集より抜粋