日本ガイシ株式会社(社長:小林茂、本社:名古屋市)、国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学(総長:杉山直、本部:名古屋市)、アイクリスタル株式会社(代表取締役:髙石将輝、本店:名古屋市)は、人工知能(AI)を用いたセラミック製品の高精度解析手法を共同開発し、製品特性の解析期間を大幅に短縮できる技術を確立しました。
日本ガイシはこのAI技術を、主力事業に適用して製品設計・評価期間の短縮を図るとともに、カーボンニュートラルやデジタル社会に貢献する新製品の早期開発に活用します。
このたび共同開発したのは、セラミック製品の評価に用いるシミュレーションをAIに置き換える技術です。名古屋大学・宇治原研究室が結晶育成法の研究で培ったAIモデルをセラミック製品向けに改良し、アイクリスタルが日本ガイシ向けにモデルの高精度化およびインターフェースの実装を行い、日本ガイシが製品評価への適用検証を行いました。従来のシミュレーションは精度が高い反面、専門チームによる作業を必要とし、計算にも長時間を要していました。今回開発したAI技術では、シミュレーションと同等の精度をノートパソコンで手軽に得ることが可能です。
日本ガイシは、本技術を主力事業の自動車排ガス浄化用セラミック製品の評価に適用します。同製品は自動車の排ガスにさらされる過酷な環境で使用され、高い信頼性・耐久性が求められるため、実験とシミュレーションの両方を駆使した高精度な解析を繰り返し行っています。従来は実験結果を得てからシミュレーションによる解析が完了するまで1~2週間を要していましたが、このAI技術を用いることにより最短1日に短縮できます。今年度中に量産品の設計プロセスに組み込み、製品の信頼性向上と設計リードタイム短縮を実現します。
本技術は、他のセラミック製品の特性解析にも広く展開可能です。日本ガイシは、このたび共同開発したAI技術により、設計プロセスのデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速するとともに、NGKグループビジョンに掲げるカーボンニュートラルとデジタル社会に貢献する新製品の早期創出を目指します。
名古屋大学は、世界と伍する研究大学を目指し、創造的な研究活動によって世界屈指の知的成果を創出、社会課題解決のための研究成果の社会実装、およびスタートアップの創出・育成・支援に向けた取り組みを進めています。今回の共同開発は、この取り組みを推進するものです。
アイクリスタルは、経営理念に掲げる持続可能で豊かな世界の実現に向けて、試作・量産・評価データを有効活用するDX戦略の一つとしてプロセスインフォマティクス※を推進するとともに、製造プロセスの最適化ソリューションを提供しています。アイクリスタルが手がけるプロセスインフォマティクス技術は設計や試作、評価の高速な解析が可能で、セラミック製品をはじめとするあらゆる製品のさらなる付加価値の創出に貢献します。
※プロセスインフォマティクス:
プロセス設計に対してAIを活用し、所望の製造結果が得られる製造条件を効率よく最短で探索する手法
アイクリスタル株式会社について
「プロセスインフォマティクス(PI)」技術をコアとする名古屋大学発スタートアップです。
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研究代表者
東海国立大学機構 名古屋大学未来材料・システム研究所
教授 宇治原 徹(うじはら とおる)
https://ujihara.material.nagoya-u.ac.jp/